2010年 アルトリサイタル ~シューベルトと響きあう調べ~

2010年6月27日(日)
於:旧東京音楽学校 奏楽堂

ごあいさつ
本日は「シューベルトと響きあう調べ」にようこそいらしていただき有難うございます。私の大好きなシューベルトの歌曲でこの演奏会を持てることを本当に幸せに思います。
ある先生から人にとって一番大切に守るべきものは、純粋さと素朴さだと聞いたことがあります。それを失うと歌えないシューベルトは、私の人生の道標(みちしるべ)をも与えてくれます。
そして今回のコンサートの会場として選んだこの奏楽堂(今は「旧奏楽堂」と呼ばれています)は、日本の西洋音楽を育て発信してきた我が国最初のホールです。かつて五線に音符を書く習慣のなかった日本に西洋の新しい風を入れ受けとめ、今度は日本人の感性で音楽芸術の風を起こした場所です。時代の流れにより明治村に移設される話がありましたが、私の恩師故渡辺先生や多くの方々のご尽力により、このように生き続けているこの場所から初心にかえり始められることを幸せに思い心から感謝しております。
クラシックの演奏家は長く100年、200年と歌い継がれた曲にもう一度光を当て、何度も生き返らせるのを使命として生きています。今夜歌う曲の中で、皆様の心に響く曲が一曲でもあればと思います。家庭を持ち、子供を育て、良き友人に恵まれ、そして自然豊かな地にすむ私がこの歳になって初めて感じる心で歌ってみたいと思います。

どうぞごゆっくりとお楽しみください。